Maserati GranCabrio - Technology
比類なきテクノロジー
エアロダイナミクス
エアロダイナミクスの追求は、スタイリング開発と同時に進行。カブリオレ独特の乱気流が、可能な限り抑制された。
ソフトトップを開いたときの空気抵抗係数はわずか0.35、閉じたときでも0.39という、この種のクルマとしては驚異的な数値を達成している。
特殊なデザインが施されたアンダーフロアと、空気抵抗を低減しダウンフォースを最大化するボディデザインが、その秘密だ。
重量配分
マセラティ グランカブリオがファン トゥ ドライブであり、運転操作に鋭くレスポンスし、しかも安全なのはなぜか。理由は、適確な重量配分にある。ソフトトップがオープンならフロント49:リア51。クローズだと48:52となる。
この重量配分を実現するため、エンジンをフロントアクスル後方に搭載するフロントミッドシップ レイアウトが採用された。クルマの挙動が素直で予測しやすく、気軽にドライビングを愉しめる。加速時には(特に滑りやすい路面では)、強大なトラクションを発揮。卓越したロードホールディングにより、危険を緊急回避する場合でも車両は安定し、バランスを崩すことはない。
エンジン後方に組み合わされた、油圧トルクコンバーター オートマチックトランスミッション。リミテッドスリップ ディファレンシャル(スロットルON 時のロック率25%、OFF 時45%)を介してエンジンパワーを余すことなくタイヤに伝える、2ピース ドライブシャフト。これらの絶妙な配置も、グランカブリオの優れた前後バランスの要因である。
シャーシ
シャーシはスチール製で、ボンネットおよびフロントバンパー補強材はアルミニウム製。
トランクリッドには軽量なだけでなく、傷つきにくいサーモプラスチックが採用されている。
新型シャーシを完璧に仕上げるため、数千時間におよぶコンピュータ シミュレーションが行われ、それ以上の時間が走行テストに費やされた。その成果は、思いのままのハンドリングで体感できるだろう。ねじれ剛性は27.2Hzに達しており、シャーシ設計の新基準を打ち立てた。
一方で、こうした構造強化に伴う重量増は、グラントゥーリズモ比でわずか約100kg に抑えられている。
サスペンション
グランカブリオはアルミニウム製ガスダンパー、そしてスカイフック無段階可変ダンピングシステムを標準装備。後者のシステムは路面や走行状況に最適な減衰力を瞬時に選択し、道路の凹凸を巧みに吸収するため、快適この上ない走りが味わえる。
スカイフックシステムには、タイヤとボディの挙動を感知する加速度センサーを搭載。センサーからのデータをエンジンコントロール ユニット(ECU)が分析し、ただちにダンパーの減衰力を最適化する。
ドライバーは、ノーマルとスポーツの2つのハンドリング設定からいずれかを選択できる。
ノーマルモードならダンパーがソフトなセッティングとなって、より快適な乗り心地に。スポーツモードはハードなセッティングで、コーナーリング時などのボディロールや荷重移動を抑え、走行安定性を向上させる。
ブレーキシステム
マセラティ グランカブリオのフロントディスクには、デュアルキャスト テクノロジーを採用した高性能なブレーキシステムが装着されている。このシステムは、世界的なブレーキメーカーであるブレンボ社と共同開発された。
ディスク外周の制動面には鋳鉄を、ハブにはアルミニウムを使用。モノブロック キャリパーもアルミ製で、2ピース構造の従来型より変形に強いのが特徴である。2系統の油圧回路から、4輪ドリルド ベンチレーテッドディスクに制動力を供給する。フロントブレーキは、異径6ピストン モノブロック アルミニウム キャリパーと直径360×厚さ32mmのデュアルキャストディスクの組み合わせ。リアには、異形6ピストン アルミニウム キャリパーと直径330×厚さ28mmのディスクを採用している。
アンチロック ブレーキ システム(ABS)と統合されたエレクトロニック ブレーキフォース ディストリビューション(EBD)は、フロントとリアへ制動力を最適に配分し、ブレーキ性能を格段に高める。
坂道発進をサポートする、ヒルホルダー システムも搭載。上り坂でブレーキペダルから足を離しても数秒間ブレーキング状態を維持し、アクセルに踏み変える間もクルマを静止状態に保つ。
油圧ブレーキシステム(HBA)にも注目だ。このシステムは、ブレーキサーボ作用圧、ホイールの回転スピード、ハイマウントストップランプの点灯といった情報から、パニックブレーキを感知。ドライバーに代わってフルパワーでブレーキをかけ、最短距離でクルマをストップさせる。
エンジン
グランカブリオの心臓部では、マセラティ史上最強の4.7リッターV8エンジンが脈打っている。このパワーユニットは、最高出力440hp/7,000rpm、最大トルク490Nm/4,750rpmという強大なパワーを発揮する。
バンク角90°で設計されたマセラティV8は、各バンクに2本のチェーン駆動オーバーヘッドカムシャフトを採用。油圧タペットでコントロールされる1気筒あたり4つのバルブとともに、点火タイミングを精確に制御する。また、吸気カムシャフトには低圧無段階可変タイミングバリエーターが装着され、0.15秒未満という高速でバルブを作動させる。
4本のカムシャフトを駆動するタイミングチェーンは1本とし、高い信頼性と静粛性を獲得。加えて低摩擦と省燃費も実現している。そして、精妙なタイミング制御によってシリンダー内の混合気の充填効率が高まり、驚くべきハイパフォーマンスが引きだされるのだ。
潤滑方式はウェットサンプ方式。サンプがクランクケース下部に一体化されており、ケースに内蔵されたオイルポンプでオイルがエンジン内に供給される。このシステムによってエンジンノイズが劇的に抑制され、より快適なドライブを楽しめる。また2,500rpmの低回転で最大トルクの82%が発揮されるため、高いギアのままでも力強い加速が可能。安全に追い越しができるだけでなく、いつもの道をよりスポーティに愉しめる。
さらに環境性能を高めるため、メタル マトリックスおよびパンチング シートメタル触媒コンバーターを採用。息を飲むほどのエンジンパフォーマンスを達成しつつ、極めて厳しい排出ガス基準、ユーロ5もクリアしている。
ニューマティック エグゾースト バイパスバルブ
マセラティ グランカブリオのエグゾースト システムは、ニューマティック バルブで制御されている。NORMALモードでは閉じた状態で、抑制のきいた低いエンジンサウンドを響かせる。SPORTボタンを押すと、エンジンパフォーマンスやハンドリング特性が変わるだけでなく、バルブも開放。エンジンを最高出力まで使いきることが可能になり、その甲高いサウンドでオープンエア ドライビングはさらにスリリングになる。
このバルブは、エンジン回転数を制御するガバナーの働きにより、3,000rpm以上で開く仕組み。このシステムにより、低回転域では控えめで上品、高回転域ではレスポンスとパワーが前面に押しだされたドライビングという、このクルマの2面性を堪能できるのだ。
エンジン油圧トルクコンバーター付オートマチック トランスミッション
マセラティ グランカブリオの4.7リッターV8エンジンに組みあわされるのは、ZF社製6速オートマチック トランスミッション。その加速性能は上級ドライバーの要求も満たし、シフトチェンジに気づかないほどのスムーズさで全ての人に快適さをもたらす。
マセラティV8ユニットのポテンシャルは、このトランスミッションにより最大限に引きだされる。伸びやかな高回転域のパフォーマンスを犠牲にすることなく、低中回転域で厚いトルクを発揮。また、マニュアル スポーツ モードでは、スポーツカーにふさわしい超高速シフトチェンジを愉しめる。
そのときの気分やシーンに合わせて、4つのモードから選択しよう。
オート ノーマル モード
日常走行に最適なモードで、快適性を最重視したシフトパターンとなる。早めのタイミングでシフトアップされ、振動やエンジンノイズを最小限に抑制。シフトチェンジはスムーズで、ほとんどショックを感じさせない。
走りがスポーティに変化したと感知すると、より高回転でシフトチェンジするよう自動的に設定。変速回数を減らし、より高いパフォーマンスを発揮するようになる。
オート スポーツ モード
日常走行においては、急加速する場合を除き、オート ノーマル モードより高回転でシフトチェンジ。走りはスポーティに、エンジンサウンドは重厚に変化する。
スポーツドライビング時には、さらに高回転でシフトチェンジするよう設定が変更される。コーナー入口でブレーキングとともに最適なタイミングでシフトダウンし、クルマの挙動を安定。そして、コーナー出口ではパワフルな加速が可能となる。ワインディングロードを攻めるときや豪快に走りたいときにふさわしいモードである。
オート アイス モード
センターコンソールの ICE ボタンを押すと、スポーツモードを選択していた場合は自動的にキャンセル。オフにしていたスタビリティコントロールシステム(MSP)は、作動を再開する。トルクを抑えてホイールスピンを防ぐため1速にはシフトせず、2速で発進。シフトタイミングは3,000~4,000回転に限定され、最適なトラクションを確保する。
マニュアル モード
セレクターレバーを D レンジから +/- スロットに移すと、マニュアル操作でギア選択が可能に。セレクターレバーはもちろん、ステアリング コラムに装着されたパドルでもシフト操作できる。
セレクターレバーによる操作方法は、レーシングカーのシーケンシャルシフトと全く同様である。レバーを後方に引けばシフトアップし、前方に押せばシフトダウン。加速時や減速時にドライバーが感じる荷重変化に則った動作だ。また、セレクターレバーが +/- スロットにある場合は、いつでもパドルでシフト操作が可能。ステアリングコラムにパドルを固定している点がマセラティ独特であり、人間工学的にも最適である。常にパドルの位置を把握でき、どんなシチュエーションでもすぐに指先で触れることができるのだ。緊急時の安全性にも大きく貢献するシステムなのである。
両手をステアリング ホイールから離さずにシフトチェンジできることが、シフトパドルのメリット。指先を引っかけるだけで操作できるため、ワインディングロードを高速で走りぬける際も十分に安全性を確保できる。ドライビングの興奮も高まることは、言うまでもないだろう。
安全性と信頼性を高めるため、マニュアル モードには、エンジン回転数がレブリミット付近まで上がると自動的にシフトアップし、回転数が落ちこんだときはシフトダウンする機能が組みこまれている。
ただし、 速のみ例外。ドライバーが自分でシフトチェンジし、エンジン性能を最大限に引きだしながらスポーティドライビングの醍醐味を味わえる設定となっている。
オート モードでは、電子制御キックダウン機能が作動する。アクセルを深く踏みこむと、自動的にシフトダウン。マニュアル モードではこの機能が働かないため、ドライバーが最適なギアを選ぶことができる。
トランスミッション
オートマチック トランスミッションはエンジン後部に一体化され、フロントに搭載されている。
ドライブシャフトは2ピース構造で、セルフロッキング ディファレンシャルを介して駆動力を無駄なくタイヤに伝達する。
レスポンスが鋭く精確なハンドリングは、思いのままの走りだけでなく、快適性や安全性の向上に大きく貢献する。電子制御サーボシステムにより、速度に比例してパワーステアリングのアシスト量が変化。高速ドライビング時にはしっかりしたステアリング フィールをもたらす一方で、駐車などの際には軽快で精度の高い取り回しができる。最小回転半径が5.35mとボディの割に小さいことも、グランカブリオの優れたハンドリングの秘密だ。

